練習時間が少なくなる理由

 会話ができるようになりたいと思っている日本語学習者には、会話の練習をさせる時間を与えないといけません。そこで、実践演習をする養成講座の受講生に気をつけてほしいことは、教える場合にはできるだけ話さないということです。なぜかというと、

○講師が話せば話すほど、学生が話す時間がなくなる。

からです。ですから、1回の演習の中で、どれだけ学生に口を開けさせることができるかを考えて計画を立てるように心がけてもらいたいのです。

 しかし、実際に演習をやってもらうと、どうしても説明が長くなってしまいます。説明が長くなる原因の1つに、新しい文法事項の提示、日本語教育の用語で言うところの、「導入」の部分に時間をかけてしまうということがあります。

 導入というのは、その日に初めて教える文法事項の意味を教える部分です。基本的な授業の流れは、

導入(新文法の提示、意味の説明)
         ↓
文型練習(新文法を型にはめるためのパターンプラクティス)
         ↓
会話練習(新文法を含めた短い会話練習)

のようになります。実践演習では1人の持ち時間が限られていますから、最後の会話練習まではできなくても、文型練習はある程度やってほしいところです。しかし、最初の導入の部分に時間をとられてしまって、残りの練習時間が少なくなってしまうというケースがよく見られるのです。
 演習をする受講生が導入に時間がかかってしまう理由として、

「導入が大事。導入に失敗すると、あとの全てが失敗するから、慎重に、丁寧にやらないといけない」

ということが、養成講座の授業や、教師用の参考書で強調されているからではないでしょうか。確かにその通りで、導入に失敗してしまうということは、文法の意味を正しく学生に伝えられなかったということですから、学生が間違った解釈をしたまま練習しても意味のないことになってしまいます。

 しかし、この導入の部分にばかり気をとられて、そのあとの練習が不十分になってしまっては、学生の目的である会話力の向上に近づいていくことができません。導入だけでなく、そのあとの練習にも工夫をこらして、できる限り学生の口を開かせるように計画する必要があります。

タイトルとURLをコピーしました