絵と文字の組み合わせで変化を付ける

 日本語の文型をパターン練習する際に、視覚的に変化を与えれば練習に変化を付けることができます。その手段として、絵カードや文字カードなどの教材を利用することが考えられますが、文字カードではどのような視覚的な変化が付けられるでしょうか。

 文字カードはそれ自体は文字が書いてあるだけなので、絵カードと違って、提示しただけで何かを想像させたり、面白い場面を提示したりすることはできません。文字カードはむしろ絵カードと併用することで、

「文字→絵→文字→絵」

という視覚的な変化を付けるという使い方になります。例えば、動詞の語形変化の練習(例:「て形」)をするとしましょう。
「よみます」を「よんで」の形に変えさせる練習をする場合、まず、教師が「読みます」というキューを出し、学生に「読んで」と言わせます。この練習で、教師による最初の「読みます」というキューはどうやって出せばいいでしょうか。

 この場合は「教材なし(口頭)」「絵カード」「文字カード」の3種類が考えられます。まず口頭だけでキューを出す場合ですが、この方法だと音声だけに頼る練習になるので、長く続けるとすぐに学生が退屈して疲れてしまいます。

 次に文字カードを使う場合はどうでしょうか。これは音声に比べて目に文字が向くので、提示された文字に注意を引き付けることができるという効果があります。「買います」「書きます」「泳ぎます」「話します」「待ちます」「呼びます」などの文字カードをテンポよく提示すれば、学生はそれに合わせて「買って」「書いて」「泳いで」「話して」「待って」「呼んで」というように「て形」を言うでしょう。

 しかし、文字カードで文字ばかりを見続けるとやはり単調になってくるので、ここで変化を付けるために、キューを絵で出すという方法が使えます。教師がキューを出して、学生が動詞の語形を言う、という内容は全く同じ練習なのですが、見た目が文字から絵に変わったので学生の気分が少し新鮮になるでしょう。

 動詞の語形変化の中でも特に「て形」はルールが複雑なので、定着をはかるために何度も繰り返し練習しなければなりません。1度の練習では足りませんから、2度、3度と練習することになります。しかし3回とも文字カードを使ったのでは学生も「また同じことを・・・」と思ってしまいます。ですから、3回目は文字カードではなく絵カードを使って視覚的に変化を付けて飽きさせないようにするわけです。

 文字でも絵でも、単調で同じことが続くと学生は退屈してしまいます。教材に変化を付けて、飽きさせずに練習量を増やすようにするとよいでしょう。

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