学習初期の段階では、
・教えた文法をリピートさせたり、単語を入れ替えたりして練習させる。
という活動が必要です。この活動の手順を書いておくのが教案ですが、ここに「単語を入れ替えて練習」と書いてあるだけでは、具体的にどのように練習するのかが分かりません。そこで、養成講座の受講生には「具体的に書いてください」と言っているのですが、具体的に書いてください、と言われてもどれだけ書けばいいのか分からない、という方も少なくありません。
教案を初めて書く場合は、面倒でも、教室で自分が発話する一言一言を、生徒に発話させる一言一言を教案に書くようにするのが確実です。学習初期の段階では、学生は自由に会話することもできませんし、教師が講義をすることもできません。ですから、教師の側が主導権を握って、「この練習をこれだけの時間する」と決めておいて、50分なら50分の授業内容を計画しておきます。そうしないと、時間に空白ができてしまいます。
授業時間が50分なら、単純に考えて、5分の活動を10個用意しなければなりません。では、どれだけの活動をすれば5分の時間になるでしょうか。
教師:「これは 本 です」
学生:「これは 本 です」
→「雑誌」
教師:「これは 雑誌 です」
学生:「これは 雑誌 です」
今、上に書いた練習はどれだけの時間がかかるでしょうか。読んだ人はわかると思いますが、これだけの内容なら、10秒もかかりません。もし、この練習を5分間する予定なのであれば、上の内容を(仮に10秒として)30回繰り返す必要があります。本と雑誌だけで30回でも構わないのですが、変化をつけるなら、単語を増やさなければなりません。単語を増やすなら、本と雑誌以外に何の単語で入れ替えるのかを教案に書いておく必要があります。その場で思いついた単語というわけにはいきませんから。
さらに、学生にリピートをさせて練習するのなら、どのようにリピートさせるのかも教案に書く必要があります。クラスの全員でリピートする、クラスの半分ずつでリピートする、座席の列ごとにリピートする、指名された個人の学生がリピートする、などリピートのさせ方もきちんと決めておかなければなりません。単語の入れ替えも、物の名詞の部分だけでなく、「これ」を「それ」や「あれ」に入れ替える練習もできるでしょう。
このように、入れ替え練習やリピート練習にはいくつものやり方があります。そこを考えずに、単に「単語を入れ替えて練習」と書いただけの教案を持って教室に入ってしまうと、「ここで5分練習するつもりだったのに、1分ももたなかった」という状況に陥り、50分の授業の予定が大幅に時間が余る結果になります。ですから、この練習を何分間する予定なのか、もし5分なら、どうやって5分間練習するのか、という部分が教案には必要なのです。教案は5分間という時間の具体的な使い方まで考えて書かなければなりません。
