導入は確かに大事ですが、導入にばかり時間を取られていては練習する時間がなくなってしまいます。特に学習の初期段階では基礎を固めて、学生を軌道に乗せなければなりません。軌道に乗せるためには何が必要かというと、
○使える文法を1つずつ増やしていく
ということです。この場合の「使える」というのは、
○「会話で使える」
ということです。
習った文法を口に出して会話で使えるようになれば、学生は自信がついてもっと話そうとします。使える文法が1つずつ増えてくると、より話せるようになるので、ますます自信がつきます。こうして、1つずつ使える文法が増えてくると、好循環が生まれてきます。ですから、学習の初期段階では使える文法を1つずつ増やして行くことが大事なのです。
会話で使えるということは、頭で理解しただけではなくて、理解した内容を発話できなければなりません。そのために、講師はできるだけ学生に発話する機会を与えて、口頭練習をさせることに集中する必要があるのです。しかし、新人の講師はどうしても導入に気を取られてしまいます。導入が計画通り進むと、「うまく教えた」という気になってしまって、その後の練習が少なくなってしまいます。
また、実践演習で、外国人学習者を相手に練習するのではなく、お互いの受講生同士(日本人同士)で、外国人学習者の役をやって演習をする場合がありますが、このような演習方法を取ると練習量が少なくなりがちです。
このタイプの演習授業を何度もすることの弊害は、「外国人役の日本人」が、導入したばかりの文法をすらすらと話してしまうことです。初級レベルの外国人に教える場合、導入しただけですらすらと話せるようになるということはありません。導入したあとに、繰り返し何度も発話練習をして、ようやく話せるようになるというプロセスがあります。
しかし、養成講座の受講生は「日本語がうまく話せない外国人」を演じることが難しいために、導入しただけで、その後の練習量が少なくても「外国人役の日本人」が習ったばかりの日本語をすらすらと話してしまいます。そのために、
○会話で使えるようになるには、繰り返し口頭練習する必要がある。
ということが意識されにくいのです。養成講座の受講生はその点を意識して、導入したあとの練習をどうするかをよく考えながら授業計画を作るように気をつけましょう。
