日本語教師養成講座に出席される方は、元○○教師だったり、元○○学校の教師だったりと、元々知的レベルの高い方がいらっしゃいます。教える側も、授業の理解度も高いだろうと思いがちです。しかし、時々教える側と学ぶ側のギャップができてしまい、知的レベルの高い方でも何を学んでいるのか分からなくなってしまうことがあります。
それは、教える側が技術論にこだわりすぎて、その技術を「何のために使うのか」を教えるのを忘れてしまう場合です。目的を教えるのを忘れてしまうと、教える側が一生懸命工夫をこらして、丁寧すぎるぐらいにその技術の説明を熱心に教えたにもかかわらず、授業が終わってから学生が、「今日の話は何だったんだろう」と思うことになります。
あとで学生と話していて、「これはこういう目的のために知っておかないといけないんです」という説明をすると、すっかり疑問が解決して、その技術が理解できるようになるわけです。
英語の例で言えば、教師が動詞の「過去形の作り方」を熱心に教えるような場合です。規則動詞の例、不規則動詞の例などを何度も説明し、学生に暗唱させたとしましょう。これだけ動詞の変形練習をしたのだから、学生は過去形を「使う」ことができるだろうと先生は期待します。
でも、もし先生が「何のために過去形を使うのか」を教えていなかったらどうなるでしょうか。もちろん学生は過去形を使えるようにはなりません。「過去の事実を述べるために」過去形を使うという説明をしなければ、学生はいつ、どこで過去形を使っていいのかも分からないし、何のために過去形を暗唱しているのかも分からないのです。
教える側が、「過去形の作り方」と「過去形を使う目的」の関係、つまり「技術」と「技術を使う目的」の関係があいまいなまま教えてしまと、知的レベルの高い相手でも理解できなかったという結果になってしまいます。
教える側はどうしても自分の得意な「技術論」に走りがちで、「目的」のほうをすっかり忘れてしまう場合があるのです。教える際には、まず「何のための技術なのか」「なぜこの知識が必要なのか」を聞く側に理解してもらうことから始めるように気をつけたいですね。
教える目的を忘れてしまう
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