チームティーチングをする場合、講師の配置のしかたによっては、新人講師に負担の多いカリキュラムができてしまうという話をしました。
まだ教えるのに慣れていない先生にとって最も難しいことの1つは、カリキュラムの前後関係がつかめないことです。テキストを教える際に、第1課、第2課、第3課、第4課、というように連続して教えると授業の流れがつかみやすいのですが、それが、今日は第3課、次回は第6課、その次は9課というふうに飛んでしまうと、学生がどこをどの程度理解しているのかが分かりにくくなってしまうのです。
ベテランの講師だと、課の間が飛んでいても、「この課では学生はこの点でつまずくことが多い」「この課を進める前に、前の課のこの辺りを復習しておこう」などの予想ができます。しかし、経験の浅い講師だとその辺りの感覚はまだつかめません。
事前にベテラン講師から、「この課はこのあたりで学生がよくつまずく」「この概念は誤解されやすいから気をつけるように」という話は聞いていても、それを実際に教えて肌で感じるまでは、本当に理解することは難しいのが現実です。
カリキュラムの都合で新人の講師が第3課、第6課、第9課を教えた場合、チームティーチングの都合上、第1課、第2課は他の講師が担当することになります。そうなると、新人の講師は第1課、第2課などは経験できなかったことになります。経験できなかったということは、第3課を教えた時に、第1課と第2課を学生がどのように学んできたかという、その過程が十分わからないまま教えたという結果になります。
同じ教えるのでも、それ以前に学生がどのようにしてそこまで学習してきたかを知っているのと、知らないのでは大きく違います。
語学教育では、テキストは「やさしい文法から難しい文法へ」という配列がなされているのが普通です。そして、難しい文法は、やさしい文法が理解できていることを前提にして学ぶことになっています。もし、学生が難しい文法が理解できなければ、それ以前のやさしい文法のところに立ち戻って、もう一度そこを理解するところから始めないといけません。
しかし、基本となるやさしい文法を、学生がどのようにして学び、どのように理解したのかを教える側の講師が分からなければ(講師がその文法を「使える」こととは別です)、元に戻って復習してあげることもできなくなります。もちろん、今現在学んでいる文法を学生がどの程度難しく感じているかも理解しにくいでしょう。
テキストが「やさしい文法から難しい文法へ」という配列がなされている、つまり、前の課で学習したことを前提として次の課に進むという構造になっている限り、「3課」は「1課」「2課」の延長線上に存在し、同時に、「3課」を含めたそれ以前の課(つまり1課から3課まで)は「4課」以降を学ぶための前提となります。このような構造を新人の先生に早く理解してもらうことが大事です。
テキストの構造を理解してもらう
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