新人の講師に慣れてもらうためには、テキスの構造を早く理解してもらうことです(テキストは、「やさしい文法から難しい文法へ」という配列がなされているものとします)。テキストの構造が理解できれば、
「3課」は「1課」「2課」の延長線上に存在し、同時に、「3課」を含めたそれ以前の課(つまり1課から3課まで)は「4課」以降を学ぶための前提となる。
ということが分かります。
こう書いてしまえば当たり前のようですが、これは頭ではわかっていても実際にはきちんと経験してからでないと理解するのが難しいことのようです。
例えば、新人の講師Aさんが週に1回の非常勤講師として勤務することになったと仮定します。Aさんは時間割を渡され、初めて教える課が14課に当たったことがわかりました。Aさんはもちろん14課を教えるために予習を始めます。さて、この14課は8ページあり、この中に教えるべき重要項目が5つあります。Aさんはこの14課に出てくる重要項目5つをどう教えるか頭を悩まします。
なんとか5つの重要項目を教える準備をし、当日の授業を無事に終わららせたAさんですが、ゆっくりはしていられません。次回の授業では17課に当たっています。Aさんは今回も頭を悩ましながら、17課に出てくる5つの重要項目を予習します。
こうして週に1回の非常講師としてスタートしたAさんは、6ヶ月の間にいくつかの課を実際に教える経験をしました。けれども、Aさんが教えたのは14課から始まり、次が17課、そしてまた次は飛んで・・・という様子で、連続した流れでは教えられませんでした。これはAさんが週に1回の非常勤講師で、チームティーチングという形式の学校で教えたために、そうならざるを得なかったのです。
「1課から順番に教えて、1つ1つの項目が前の課とどう関連して積み上がってきているのかを体で理解しながら身に付けていきたい」と思っていても、Aさんのような非常勤講師のスタイルではなかなかそれが経験できないのが現実です。実際に、何年も非常勤講師を続けている人でも、テキストの項目を初めから終わりまで全て経験できてはいない、教えたことがない項目がある、という人もいます。
非常勤講師という立場では、どこを教えるかということを自分で決定することはできません。また、非常勤で週に数回という勤務スタイルであれば、連続して教えるチャンスも限られてきます。その結果、半年、1年と教える経験を積んでも
◯教えた経験がある項目についてはよく理解している。
◯しかし、その項目の前後のつながりまではまだ理解できていない。
◯教えた経験がない項目もまだ多い。
ということが起こります。これは非常勤という勤務スタイルでは、やむを得ないことでしょう。
