「教えること=講師が説明すること」という意識が通常の学校教育を受けた人には当たり前になっているので、
○会話ができるようになるには、会話の練習をする。
という基本が教え始めの講師にはなかなかできません。その結果、気が付いたら講師ばかりが話しているうちに、授業が終わってしまった、ということになりがちです。
では、どうすれば学生に会話をさせることができるでしょうか。養成講座の受講生にまず分かってほしいのは、学生に話をさせるには、
○講師ができるだけ話さない。
ということです。ですが、なかなかこれは理解しにくいと思います。教えるために教壇に立つのに、講師が話さなければ授業にならないのではないかと感じるでしょう。しかし、学生に話をさせるためには講師が話してはいけないのです。なぜかというと、
○講師が話せば話すほど、学生が話す時間がなくなる。
からです。授業時間には限りがあります。もし授業時間が50分と決まっていれば、その50分の間に、できるだけ学生に話をさせないといけません。もし講師が30分話せば、学生が話す時間は20分しかありません。講師が40分話せば、学生が話す時間は10分しかありません。
会話というのは、電話を思い出してもらえば分かるように、
○二人同時には話せない。
のが仕組みです。もし、教室で講師が説明すれば、その講師が説明している時間は、学生は話すことができません。ですから講師が話せば話すほど、学生が会話練習をする時間がなくなっていくのです。
例えば、もし50分授業で、講師が説明したい気持ちを我慢して、授業時間の半分の25分だけを説明にあてたとしましょう。残り時間は25分です。教室には20人の学生がいます。単純に計算すると、この20人に公平に話す機会が与えられたとして、一人が発言できる時間は、
○1分15秒
です。しかし、現実には教室ではいろんな時間のロスが発生しますから、実際には一人1分も話す時間がないことになります。50分授業で、そのうちの半分を会話練習にあてても、20人学生がいれば、一人1分も話すことはできないというわけです。
通常の講義スタイルで授業をしていれば、講師は授業のほとんどを話しているでしょうから、このスタイルでは学生の発話機会はほぼないということが分かるでしょう。
